ゲノム編集先端 人材育成プログラム

活動報告

2022年2月22日、本プログラムライフサイエンスコース担当教員 山本卓教授、坂本敦教授(統合生命科学研究科)のグループの研究成果がプレスリリース されました。

詳細は本学ホームページをご覧ください。

本研究成果のポイント
    藻類バイオディーゼル(※1)などの生産が期待される有用微細藻類、ナンノクロロプシスにおいて遺伝子改変後に脱落可能なTALEN(※2)発現ベクターとキャリアDNAを使用しないエレクトロポレーション法(※3)を開発しました。 上述の技術により外来遺伝子を含まず有用変異のみを持つナンノクロロプシスを構築することが可能になりました。 外来遺伝子の残らないゲノム編集生物は遺伝子組換え生物には該当しないため、屋外培養などの幅広い用途への応用が期待できます。

    ※1 藻類の蓄積する油脂に含まれる脂肪酸を脂肪酸メチルエステルに変換して使用する燃料です。油脂の生産時に光合成によりCO2を吸収するため、大気中のCO2を増加させない次世代の再生可能エネルギーとして期待されています。

    ※2 Transcription activator-like effector nucleaseの略で、特定のゲノムDNA上の配列に結合するTALEドメインとDNAを切断するFokIヌクレアーゼドメインを持つ人工DNA切断酵素です。L-TALENとR-TALENの2つのTALENタンパク質が標的配列に 結合してDNAの二本鎖切断を導入します。TALENのような標的配列を設計できる人工DNA切断酵素をゲノム編集ツールと総称し、ゲノム編集ツールを使用した遺伝子改変技術をゲノム編集と呼びます。Clustered regularly interspaced short palindromic repeats (CRISPR)-CRISPR-associated protein 9 (Cas9)もよく利用されるゲノム編集ツールの一つです。ゲノム編集ツールによってDNAの二本鎖切断が導入された領域は、その後の修復過程において欠失や挿入などの変異が導入され、 標的遺伝子の機能の欠失や改変を行うことができます。

    ※3 ナンノクロロプシスにおいて主要な遺伝子導入法で、電気穿孔法とも言います。高い電圧を細胞にかけて細胞質膜に穴をあけ、DNAを細胞の内部に導入します。