ゲノム編集先端 人材育成プログラム

活動報告

2022年6月30日、広島大学先端科学セミナー「“ゲノム編集”で未来社会を拓く」の令和4年度第1回セミナーをウェブセミナーで開催しました。

第1回目は、広島大学統合生命科学研究科 栗田 朋和 特任助教が「バイオ燃料開発のための微細藻類におけるゲノム編集技術」と題して講演しました。

本講演は、微細藻類・藻類バイオディーゼルについての説明から始まり、微細藻類におけるゲノム編集、特に栗田先生の研究対象であるナンノクロロプシスと いう微細藻類に高い変異導入効率を示したTALEN発現ベクターの構築、外来遺伝子の残らないゲノム編集システムの開発の成果についての説明に続きました。 藻類バイオディーゼルは、微細藻類が光合成により二酸化炭素を吸収し細胞内に蓄積した油脂を変換した、大気中の二酸化炭素を増やさない再生可能燃料である一方、 化石燃料に比べて生産コストが高いという問題があることが紹介されました。この問題の解決のためにはゲノム編集による油脂の生産性の向上と低コストでの大量培養が できる屋外培養が必須になりますが、外来遺伝子を含む株は屋外での使用が難しいため、栗田先生はプラチナムTALEN技術を用いることで、ナンノクロロプシスにおいて従来 の方法よりも効率的な変異導入に成功し、さらに脱落可能なTALENベクターとキャリアDNAを使用しないエレクトロポレーションシステムの構築により、最終的に外来遺伝子 が残らないゲノム編集法の開発に成功したことについてデータを基に解説がありました。終わりに屋外培養可能で油脂蓄積率の高い高機能藻類の研究について、さらなる 展望の期待を述べられました。

広島大学先端科学セミナー「“ゲノム編集”で未来社会を拓く」は、卓越大学院プログラム「ゲノム編集先端人材育成プログラム」の担当教員等が、本プログラムと ゲノム編集技術を広く社会に知っていただくことを目的に開催しています。セミナーは全4回を予定しており、次回以降も詳細が決まり次第、「ゲノム編集先端人材育成 プログラム」のホームページ等でご案内してまいりますので、ぜひご参加ください。

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